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逆鱗
JUGEMテーマ:小説/詩



我を忘れるほどの強い怒りって
自分をコントロールできなくなって本当に身体が震えるのね


タールよりも黒くて粘度のある感情が心の芯を震わせるから

音叉のように共鳴して増幅して
後から後から波のようにせり上がってくる

外面とか建前とか
コミニュケーションスキルを上げる絶好の訓練だとか

これまでの経験上で得た
さほど役に立たなさそうな手持ちのカードを繰り出して

円滑な人間関係という予定調和を守るために
懸命に押し留めていた理性のダムが決壊した瞬間


溢れだした感情が醜い言葉となって
相手の心臓めがけて放たれる毒矢に変わる

そんな言葉を口から泡が飛ぶほど吐き出す度に

感情がハレーションを起こし
冷静な意識が私という器から乖離して

怒りに満ち満ちている自分自身を眺めていぶかしむ


「私は何をそんなに怒ってるの?」


そんな単純な問いかけがふと頭をかすめた時
明快な答えが待っていた


あぁそっか

本当は怒ってるんじゃなくて
本気で傷ついて痛くて悲しかったんだ

だから
相手にも同じぐらいの傷をつけて
痛みの度合いを知って欲しかったんだ


結局は
相手に理解して欲しかっただけなんだって







 
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/ 22:01 / 悲しい詩(うた) / comments(0) / - /
フレーミング
JUGEMテーマ:想い詩


マットな赤のセル眼鏡
意地悪な君によく似合ってる

すごく意地悪なくせに
時々蛇口が壊れたようにくしゃくしゃに泣く君の

無防備な涙を真っ赤な額縁が綺麗に飾り立てるものだから


それを不意に見せられる度に僕は
君から目が離せなくなる

君が
意地悪なのは
本当は臆病だから?

なんてフレーミングしてしまう

恋って
相手に都合良くできている







 
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/ 00:02 / 切ない詩(うた) / comments(0) / - /
可愛い印
JUGEMテーマ:想い詩


君の左頬に浮ぶ片えくぼ

こらえきれず唇が引き上げられる前にフライング
君が笑いだす印


些細なことで喧嘩して
取りつく島もないぐらい怒らせちゃって


焦った僕のしどろもどろな言い訳が
あまりに下手だったせいか

わざとらしいため息を漏らしながら
目をそらした君の左頬に小さな印がぺこっと表れる


僕はちょっとだけホッとする

どれだけ君が怒ってても
その印が出たら喧嘩は終わりのサイン

ねぇ
コーヒー淹れようか

とっときのコーヒー豆があるんだ







 
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/ 23:46 / 優しい詩(うた) / comments(0) / - /
JUGEMテーマ:小説/詩



胸の真ん中に轟音を立てて嵐が来た
彼女のいる君がしたキス

どうしようもない事実を
もしかしたらひっくり返せるかもと

馬鹿みたいな期待が
わずかに残る理性を弾いてしまえと吹き荒れた

外側は嘘のように凪いでいて
慣れた手順で瞼を閉じた

彼女のいる君がしたキスは
符号としては申し分ないほど残酷で

この上ないほど幸せなものだった



 
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/ 15:44 / 切ない詩(うた) / comments(0) / - /
あの夏
JUGEMテーマ:小説/詩



息を止めたような
赤く滴る夕日を背に

君が小さく手を振った

うだる暑さの切れ間に
君の周りだけ
冷たい空気がポツポツと青白く降り積もる

薄闇に紛れはじめた君は
最後の表情が笑ってたのか泣いてたのか

僕には判別できなかった



遠いあの夏が新しい夏に重なる度に
僕は少し泣きたくなる

後悔という小骨を喉に詰まらせて



 
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/ 00:05 / 切ない詩(うた) / comments(0) / - /
梅雨入り
 
JUGEMテーマ:ポエム

鉛色の分厚い雲が低く流し込まれたような空
梅雨入りしたってニュースキャスターが言ってた

衣替えした夏の制服
ちょっと早まったかな…

半袖の二の腕を
じんわり湿った空気に撫でられて
もうすぐ夏だっていうのに
肌寒ささえ感じてため息が出る

傘なんてさしても意味ないじゃないって
心の中で毒づきながら自転車に乗った


通学路の横を流れる川が水かさを増していて
いるはずのない綺麗な錦鯉が悠々と我が物顔で泳いでた

雨粒に塗りつぶされて
道路と川面の境界線が曖昧にされていく

自分のいるこの世界がどんどん色を失っていくようで
少し心細くなって

そんなバカげた妄想から逃げ出すように
重いペダルを思い切り踏みこんだ

ブレーキの軋み音に
不快指数がぐんぐん上がる


こんな憂鬱な朝でも
あの角を曲がると
急に景色が明るくなる

スカイブルーの自転車に乗った君の後ろ姿を見つけた途端

風景や通り過ぎる人はモノクロームなのに
君だけはっきりと色鮮やかで

君を見る度に胸を突くこの気持ちが何なのか分からずに戸惑った



あれが恋だと気付いたのは
ずいぶん経ってからのことだった



 
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/ 22:19 / 優しい詩(うた) / comments(0) / - /
深層心理

マグカップの底に溶け残ったお砂糖が
白いヘドロみたいに見えて

つい目をそむけたの

だって


私なんかが入りこむ隙はないって
頭では分かってるのに

狂気じみた純粋さで固執してる
私の心を的確に表してる気がして


分かってるの
分かってるの

だけど
もう少しだけ好きでいさせて

迷惑はかけないようにするから…

 
JUGEMテーマ:ポエム


 
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/ 00:37 / 切ない詩(うた) / comments(0) / - /
アマツバメ
JUGEMテーマ:ポエム

ブーメランみたいな翼を広げて
空を切るように飛んでいくアマツバメ

他を寄せ付けないほどの速さで
長く長くどこまでも


あの人もきっと早く飛べるんだろう
前しか向いてなかったもの
遠くを信じてる顔だったもの


私を見ることは一度もなかった
一瞬前を通り過ぎただけの恋







 
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/ 22:58 / 切ない詩(うた) / comments(0) / - /
ディープフォレスト
JUGEMテーマ:ポエム


戸惑う僕を
強引に引き寄せる君の腕

無駄のないフォルムに
うっすらと浮き出る筋肉の線

日に焼けた薄褐色の肌は
指ではじくとキンと高い音を響かせる磁器のように
汗も熱も拒絶した硬質で冷たい感触

なのに
矛盾するように若い肌の張りが淡い光を帯びる
それがまた艶めかしくて目を離せない


濡れた髪を伝う雫が
鎖骨のくぼみに音もなく溜まる

首筋に幾筋もの光と影がちらつき

僕はそこに
眩暈を覚えるほどの深い深い森を見た


君は
この森に住む黒い豹

僕を欲しがる気持ちを隠そうともしない
捕食者が放つ殺意に近い劣情のフェロモンに

身体がしびれて動かない

「こんなのおかしいよ…」
たまらず抵抗の言葉を口にしたけど

僕は
自分の中に君を欲してるもう一人の僕を見つけて

愕然とした


色素の薄い目がゆっくりと獲物に照準を合わせる

唇が近づくまであと2秒

煙草とミントの混じったような香りに誘われて
深い森の入り口に立っていた

「もう後戻りなんてできないよ」







 
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/ 08:08 / 切ない詩(うた) / comments(0) / - /
遍(あまね)し紺碧
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目を閉じて夢想する


この身体が
秩序を失って崩れ落ち

無意味な塵になったとしたら


あまねし無数の塵に
乱反射した光が

碧く透明な壁を作り
君を誰の手も届かない「永遠」に内包してしまうだろう


そのためなら
僕が存在する意味などいらないとまで想ってしまう






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