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梅雨入り
 
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鉛色の分厚い雲が低く流し込まれたような空
梅雨入りしたってニュースキャスターが言ってた

衣替えした夏の制服
ちょっと早まったかな…

半袖の二の腕を
じんわり湿った空気に撫でられて
もうすぐ夏だっていうのに
肌寒ささえ感じてため息が出る

傘なんてさしても意味ないじゃないって
心の中で毒づきながら自転車に乗った


通学路の横を流れる川が水かさを増していて
いるはずのない綺麗な錦鯉が悠々と我が物顔で泳いでた

雨粒に塗りつぶされて
道路と川面の境界線が曖昧にされていく

自分のいるこの世界がどんどん色を失っていくようで
少し心細くなって

そんなバカげた妄想から逃げ出すように
重いペダルを思い切り踏みこんだ

ブレーキの軋み音に
不快指数がぐんぐん上がる


こんな憂鬱な朝でも
あの角を曲がると
急に景色が明るくなる

スカイブルーの自転車に乗った君の後ろ姿を見つけた途端

風景や通り過ぎる人はモノクロームなのに
君だけはっきりと色鮮やかで

君を見る度に胸を突くこの気持ちが何なのか分からずに戸惑った



あれが恋だと気付いたのは
ずいぶん経ってからのことだった



 
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