君のこと。



 あれからずいぶん時間が経ったね。
景色も人もずいぶん変わってしまったね。


自分自身でさえ。

君を想う気持ち、薄れないようにしてるのに気が付けば日常に溶けて出てしまって、
日が近づくにつれやっと心の中にふわりと舞い降りてくるほどにまで淡くなってしまった。

私のことを酷いと思ってるだろうね。

だけど、君がいないまま時間を重ねるのは重すぎたから…可能な限り、昨日を過去を
薄めていくのは人間の性なのかな。

言い訳にしか思えない?
だろうね、君自身は何一つ変わらずに過去と共にあるんだから。

未だにね、あの手の話には弱いけど、あの頃ほどではなくなった。
すぐに笑顔で話せるぐらいにはね。

あの頃はただ苦しんでもがいてた。
空気さえも水を含んだ綿のようで息苦しかった。

気が付けば泣いていた。
それぐらい毎日が色を失って見えていた。

何年かかっただろう。
未だに完全に手放せたとは思ってないけど、それでも時間は確実に私の心を穏やかに
してくれた。

大切なはずなのに薄れていく自分が悲しくて、
流れて留まることができない感情のおかげで私は今ここにいる。




私はこれからを生きていくよ。
色んなことを忘れながら、消し去りながら。

だけど、君と過ごした短い日々はずっと心にあるから。
私の記憶が年とともに風化したり欠落したとしても、その事実は変わらないから。






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