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こんな時に

JUGEMテーマ:想い詩

 

 

「風邪引いたみたい」

電話の向こうで少し辛そうな君

 

「大丈夫?何か食べるもの持って行こうか?何がいい?」

携帯を肩に挟んでそう聞きながら

ブルゾンに袖を通す僕

 

「んー…食欲ないの」

かすれ気味のか細い声

こんな時に何だけど

いつもよりちょっとセクシーでドキッとしてしまった

 

不謹慎でごめん

 

 

夕暮れが近づいてきた駅までの道

スーパーに寄ってポカリと葡萄をカゴに入れた

お粥の材料も買った方がいいかな

体を温めるのって何入れるんだっけ

 

 

ねぇ

こんな時に本当に何なんだけど

病気で弱ってる君が電話してきた相手が僕だってことに

さっきからニヤつきが止まらないんだ

 

横で野菜の鮮度を品定めしている見ず知らずの奥さんに

怪訝そうな顔されて慌てて咳払いしたほど

 

スキップしちゃいそうなぐらい嬉しくて

 

 

一生懸命看病するし

なんだったら

 

君の風邪

全部もらってあげるから

 

だから

不謹慎な僕を許してね

 

 

 

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もしも君じゃなかったら

JUGEMテーマ:想い詩

 

 

 

今、僕は君の隣にいる

 

何気ない日常に散らばっていた

君へとつながる小さなファクター

 

積み上げられた小さな偶然の連なりをたどって

 

 

今、君が僕の隣にいる

一番大切な事実が形を成しているんだと思うと

訳も分からず気持ちが溢れそうになって

 

思わず手で口を覆ったんだ

 

 

僕が今見つめている人が

 

もしも君じゃなかったら

僕はこれほど幸せだと思えなかったかもしれない

 

 

 

 

 

 

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パズルの1ピース

JUGEMテーマ:小説/詩



性格も相性もどことなく合わないと思っていた

きっと私とあなたはこの先も対になれない

もっと合う人が他にいるんじゃないかって
ずっと思っていた


だけど
年を重ねるごとにお互いの尖ったところが少しずつ削られて
いつの間にか緩やかに寄り添うカーブ


もしあなたを先に失って
心に埋まらない穴が開いたとしたら

あなたを選んだ私の人生は上々なのかもしれない

 



 
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素っ気ない温かさ

JUGEMテーマ:小説/詩

子どもの登下校の状況を通知するメール
私にはただの連絡メール

だけど
少し遠くに住んでてなかなか会えない貴女にとって
毎朝送られてくる「校門を通過しました」という素っ気ない一文は
違う意味を持つようになった

「あぁ、今日も元気に学校行ったんだね。私も頑張らなきゃ」って
励まされてる

それを聞いて
胸がいっぱいになった

ただのメールが温かみを持つこともある

そんな風に思ってくれる貴女の温かさに泣きそうになった


 
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誕生日おめでとう

JUGEMテーマ:想い詩

誕生日おめでとう

今年も君の笑顔が見られた
いつも怒ってばかりでごめんね

拗ねた顏
笑った顏
泣いた顏

その一瞬を切り取って心に留めておきたいのに
去年より一つ成長した君に重なるあの頃の幼い君が
どんどん遠くへ行ってしまう

もうすぐこの手を離して
自分の足で歩きだすんだろうね

寂しさを飲みこんで
君の背中を見送る日がもうそこまで来てると思うと

ふと胸がギュッと痛んだ

かつては自分が通った道だった
きっと
母もこんな気持ちだったんだろうか

晴れやかで切なくて
意味もなく涙がこみ上げるような


年を取ると涙もろくなるって言うけど
本当にそうだと思った

君の誕生日



 
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冬の朝

JUGEMテーマ:小説/詩


明け方
寒くて目が覚めた

道理で寒いはずだ
となりで寝てる人が
私の分まで毛布もベッドカバーも巻き込んですやすや寝てる…

すっかり冷えきった足先を意地悪してペタッと押し付けてみた

ビクッと震える肩
なのに起きない

良い根性してるじゃない…


戻ってこない眠気を残念に思いながら
少し気合を入れてベッドから起き上がる

椅子に掛けておいたミルクティー色のカーディガンを肩に羽織って
降りた露で摩り硝子みたいになってる窓を開けたら

透明で薄紫の夜が溶けかけてた

淡い日の光とともに
流れ込んできた冬の匂いに不意に心が躍る


ねぇ起きて
買い物に行こうよ!

カチッとしたダークグリーンのコートに
鮮やかなピンクが目を惹くバックスキンの手袋
チャコールグレーのムートンブーツ

モノトーンボーダーのスヌードに
大ぶりのコットンパールのピアス
それにネイビーのアランニットキャップ

オシャレして
あなたと今年の冬を目いっぱい楽しむの


あ、そうだ
ハリスツィードのイヤーマフ
お揃いで買おうね


あなたの体温を1年で1番感じられる季節が来たのに
これがワクワクせずにいられる?



 
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可愛い印

JUGEMテーマ:想い詩


君の左頬に浮ぶ片えくぼ

こらえきれず唇が引き上げられる前にフライング
君が笑いだす印


些細なことで喧嘩して
取りつく島もないぐらい怒らせちゃって


焦った僕のしどろもどろな言い訳が
あまりに下手だったせいか

わざとらしいため息を漏らしながら
目をそらした君の左頬に小さな印がぺこっと表れる


僕はちょっとだけホッとする

どれだけ君が怒ってても
その印が出たら喧嘩は終わりのサイン

ねぇ
コーヒー淹れようか

とっときのコーヒー豆があるんだ







 
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梅雨入り

 
JUGEMテーマ:ポエム

鉛色の分厚い雲が低く流し込まれたような空
梅雨入りしたってニュースキャスターが言ってた

衣替えした夏の制服
ちょっと早まったかな…

半袖の二の腕を
じんわり湿った空気に撫でられて
もうすぐ夏だっていうのに
肌寒ささえ感じてため息が出る

傘なんてさしても意味ないじゃないって
心の中で毒づきながら自転車に乗った


通学路の横を流れる川が水かさを増していて
いるはずのない綺麗な錦鯉が悠々と我が物顔で泳いでた

雨粒に塗りつぶされて
道路と川面の境界線が曖昧にされていく

自分のいるこの世界がどんどん色を失っていくようで
少し心細くなって

そんなバカげた妄想から逃げ出すように
重いペダルを思い切り踏みこんだ

ブレーキの軋み音に
不快指数がぐんぐん上がる


こんな憂鬱な朝でも
あの角を曲がると
急に景色が明るくなる

スカイブルーの自転車に乗った君の後ろ姿を見つけた途端

風景や通り過ぎる人はモノクロームなのに
君だけはっきりと色鮮やかで

君を見る度に胸を突くこの気持ちが何なのか分からずに戸惑った



あれが恋だと気付いたのは
ずいぶん経ってからのことだった



 
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好きだから

JUGEMテーマ:ポエム



「好きだから…」


え、私に言ったの?
驚いて君を見た


何かを言おうと
頭の中で引き出しを全部開けてみても

気の利いた言葉は入ってなくて

結局
唇から吐息が漏れただけだった

そんな駆け引きも何にもない言葉を
聞いたのはいつぶりだろう

その真っ直ぐな言葉の強さに
気圧されるように目線を落とすと

君の喉仏が小さくせわしなく動いてるのに気が付いた


あぁそうか

その一言にたどり着くまでに君は君で
頭の中の引き出しを全部開けて言葉を並べて迷って怖かったんだ

今この瞬間だって
喉元辺りで気持ちが出口を失って困ってる



たまらなく
君が愛おしくなった

瞬間だった




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二重否定


若い頃は「ねばならない」だった

自分の中に2つ以上の矛盾した感情が共存することを
許すことができずにいたのに

10年20年と過ぎていく日々が
いつの間にか私を未成熟な潔癖さと頑なさから解き放ってしまった

誰かの腕にもたれかかる妙に明け透けな成熟と
別の誰かをそっと綿にくるむように大切に大切に思う愛しさ

刺さるほどの打ちひしがれた事実とこれからも共にあろうとする忠誠心を
呆れるほど冷たく手放してしまう空白の瞬間

忘れてしまわなくちゃいけないものほど
忘れてはいけないものほど
そのどちらにも誠実でいられない自分がそんなに嫌いじゃなくなった

今は「なくもない」かな
なんて人間臭いんだろう

掌から大切なものが零れ落ちるのが怖くてたまらなかったのに
今ではその零れ落ちたものが何かさえ覚えてない

恥知らずになっただけと言われればそれまでだけど
結局こんなもんだよ

否応なしに忘れていくから
否応なしに変っていくから

私たちは厚かましく

生を
今を

全うできるのかな


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