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思えば今までフワフワ生きてきたな
現在進行形でそうなんだけど
だから、夢とか未来とか熱く語るあなたが苦手だった
そんなものに興味がなくて
ただ毎日を消費してるだけの自分を責められている気がして
息苦しかった
努力家で人にも少し厳しいあなたと一緒にいると
どんどん自分が嫌いになった
だけど、あなたが置かれている辛さと苦しさを少しだけ知ったの
どうしてそんなにも努力するのかも
私にはその辛さどうしてあげることもできないのだけれど
寄り添ってくれるだけで良いとあなたが言うから
そんな風に言うあなただから
私はあなたの隣にいることをやめなかったんだと思う
これからもフワフワ生きていくだろうし
あなたの言葉は耳に痛いし
2人が本当に分かちあうことはないのかもしれないけど
あなたの隣は相変わらず少し息苦しいけど
以前よりずっと愛おしくなったの
今朝は感情のまま君を叱ってしまった
叱ったじゃないな、責めたてたんだな
思春期真っただ中だし性別も違うし価値観も違う
親の言うことなんて「うざい」以外
形容できる言葉を知らない年頃だしね
私だってかつて通ってきた道だから
君の持つ有限の若さや手持ちの時間が
いかに無駄にこぼれていってるかを
知らずにそれを無駄にしてきて今後悔している
人生の先輩として
つい老婆心で
少しでも早くそれに気づいて欲しいと口うるさくなってしまう
それって
転ばないように君の行く道にある石ころを
せっせと取り除いているようなもんかなって
反省したりもするけど
次の瞬間にはきつい言葉がマシンガンのように君を集中砲火
口では私にかなわない君は黙ったまま
冷めた目で何か言いたげに私を見ている
あぁ、私もかつてそんな目で親を見てたな
分かってるんだよ
君の言いたいこと
分かってるけどさ
思春期の反抗期は
せめて自分のことぐらい自分で最低限できるように
なってからで、お願いできない?
私ももうちょっと伝え方の努力はしてみるからさ
そんなもろもろの葛藤を経て
気持ちの落としどころを無理やり見つけて
「今朝は怒りすぎてごめんね」
短い文章をLINEで伝えた
君からの返事はさらに短く
「了解」
なんだそれ
やり取りとして嚙み合ってないことに
呆れて
ちょっと吹き出してしまった
今日は君の勝ち
そういうことでいいよ
JUGEMテーマ:小説/詩
きっかけは私の言葉が君を傷つけたことだった
これ以上傷つけられたくなくて私を避ける君に
私は「なぜ?」と答えを急いた
君は答えるのを怖がった
あんなに確かだと思っていたつながりは
ほんの少しのひびで駄目になってしまうぐらい
2人の間に流れる慣れあいだったと思い知った
近すぎて時々会話の端々にえぐられるような
痛みを感じても
お互いにそれは親友の気の置けなさだろうと
痛みに気づかないふりして
無自覚に相手を傷つけて
私たちはすでにボロボロだったんだ
君と連絡を取れなくなって
悲しくて辛くてすごく後悔した
すごく後悔して
同時に
どこか安堵した
私と似ている君だから
君もきっと同じ気持ちでいるんだろう
もしもう会えないとしても
君のことを一番大切な友達だと思ってるよ
JUGEMテーマ:想い詩
「風邪引いたみたい」
電話の向こうで少し辛そうな君
「大丈夫?何か食べるもの持って行こうか?何がいい?」
携帯を肩に挟んでそう聞きながら
ブルゾンに袖を通す僕
「んー…食欲ないの」
かすれ気味のか細い声
こんな時に何だけど
いつもよりちょっとセクシーでドキッとしてしまった
不謹慎でごめん
夕暮れが近づいてきた駅までの道
スーパーに寄ってポカリと葡萄をカゴに入れた
お粥の材料も買った方がいいかな
体を温めるのって何入れるんだっけ
ねぇ
こんな時に本当に何なんだけど
病気で弱ってる君が電話してきた相手が僕だってことに
さっきからニヤつきが止まらないんだ
横で野菜の鮮度を品定めしている見ず知らずの奥さんに
怪訝そうな顔されて慌てて咳払いしたほど
スキップしちゃいそうなぐらい嬉しくて
一生懸命看病するし
なんだったら
君の風邪
全部もらってあげるから
だから
不謹慎な僕を許してね
JUGEMテーマ:想い詩
最後の夜を
通い慣れた居酒屋でなんて
あなたと私らしいね
すすけた暖簾をくぐって
大将に「まいど!」って声をかけられて
カウンターに座って
瓶ビールを頼むあなたと
サワーを頼む私
とりあえずで頼んだおつまみが並ぶと
私がいつものようにあなたのグラスにビールをついで
ちりんと小さくグラスを合わせて乾杯
居酒屋独特の雑多な空気の中で
ちっともお別れムードにならなくて
いつもの外ご飯みたいで
時々笑いあったりして
しんみりなんて
それこそ的外れだよね
楽しかったよ
ありがとう
この店を出たらあなたは右へ
私は左へ
もう二度と
同じ場所に帰ることはない
その寂しさと切なさが身に沁みるのは
もう少しサワーの酔いが醒めてから
さよなら
さよなら
「またね」はないから
あなたに背を向けて
涙が伝った
JUGEMテーマ:想い詩
セミの声が洪水のように反響する夏の午後
作りものみたいに精巧なセミの抜け殻を
しゃがみこんでじっと観察した
長い長い年月かけてやっと外に出て
たった7日間
どんなに精いっぱい頑張っても
届かない方が現実なんだろう
だけど
たった一度の恋に巡り合う奇跡のために
命を懸けて必死に生きたとしたら
7日で十分なのかもしれないね
それ以上はただの足枷になってしまうのかもしれないね
君の命は次につながった?
君の恋は報われたの?
半透明な抜け殻は
卒業式のような晴れやかなさみしさを漂わせて
静かに転がってた